型染は型を彫る事が、技法の重要な特徴です。 それが表現された時に、型の独自性を生み出しています。彫り抜かれた部分を通して糊が布地や和紙につき防染するのです。型彫りでは周囲を総て彫り抜くと型が離れて(落ちて)しまうので繋ぎを残し<「ツリ」(吊)>、その吊をデザインの構想の際に考慮しなければなりません。その制約の中で新しい構図が生まれる事も多く興味が出てきます。又、彫られた型は切れ味よくシャープで力強さも感じますが、糊(糯米、米糖、塩で作られている)の軟らかさがうまく相まって暖かみを含んだ表現効果が得られます。
白と色との対比は明確なもので、彫り抜かれた型が示す結果に惹かれます。白の部分を如何に生かすかはとても重要です。 型のデザイン、構成、一枚〜数枚型を使用等の手順で決められますが、型染めの特質でもある重ね染めや、又、連続させる(繰り返す)事によって、一枚型では感じられないリズムや新しい世界が拡がってより魅力的な表現を生み出します。
型染めは古くから日本に伝わる伝統的な染色技法の一つです。
日本で発達した理由は
(1)糊の原料が糯米、米糖、塩である。
(2)型紙の原料となる和紙(楮<こうぞ>、三椏<みつまた>)を
柿渋で貼り合わせ、水に強くした紙(渋紙)が作られたから。
(3)適度な気温と湿度の気候風土である点です。日本の自然の環境から生まれたものです。
私は1988年に米国・南イリノイ州立大学に於いて型染のワークショップをさせて頂いた時に大陸のド真ん中で、とても乾燥した気候だった為に、糊置きした糊が乾くと同時に、ひび割れを起こし始め、如何に適度の湿度が必要かを体験しました。
型染めを初めて35年経ちました。これからも私の作品創りは感動を伝える事と、型の切れ味を活かし「単純かつ繊細に」を表現の主体として続けてゆきたいです。
【型染めと型絵染めに就いて】
「型染め」は一般に着物用等、量産品に使われて来ました。小紋型等、その一つです。
「型絵染め」は、作者独自の絵模様を創作し、個性的な表現が主体となります。
代表的な型絵染作家として芹沢珪介氏、稲垣稔次郎氏等が上げられます。